2020/11/13、ニトリホールディングスと島忠が、経営統合に向けた契約を締結したとの発表がありました。
二転三転した今回の買収。
10/2に島忠株のTOBを表明したDCMホールディングスの後を追う形で、10/29にニトリがTOBを発表。
最終的に、DCMの1株4,200円の提示価格を、ニトリが5,500円と上回り、経営判断も含め、ニトリと島忠が経営統合を行う形で決着がつきました。
このニュースを受け、SNSではこんな声結構が聞こえきています。
あー残念。ニトリは安っぽいからちょっと良いもの欲しいって時に島忠はちょうど良かったのになあ。
これでニトリ化してしまうんだろうか。
#島忠(Twitterより)
あーあー島忠ついにニトリ化かぁ。
できるだけ島忠ブランドを無くさない方針にしてくれたらいいけど…
難しいかなぁ。
断然島忠派だし、島忠最高だし、なんか家具買うってなったら島忠だし、そもそも島忠以外の家具屋とか考えられないし、ただの工具とかケースとかそういうのにいたっても島忠だし。
(Twitterより)
今回のニュースを受け、ニトリ、島忠の家具の口コミを比べてみました。
そして、島忠のホームセンターや家具が今後どうなっていくのか、ニュースや会見などから予想してみました。
ニトリと島忠、店舗や家具の特徴と口コミ
ニトリと島忠の家具、それぞれどうなんでしょうか?
特徴や口コミなどを調べてみました。
ニトリの特徴
「お、ねだん以上。」のキャッチフレーズで有名なニトリ。
食器類からカーテン、机や棚、ダイニングテーブルなどの大型家具まで扱う、総合インテリアメーカー、販売店です。
その魅力は、
・お値段が安くてもそれ以上の価値のあるインテリア商品を提供すること
・店舗に行けば、ほとんどのインテリア用品がそろうくらい、品ぞろえが豊富なこと。
にあります。
ニトリが安い理由
ニトリは、製造から販売まで一括して行うビジネスを行っています。
これが製造過程のコストダウンにつながり、私たちが買う商品の値段が安くなっているわけです。
オンライン販売の場合、店舗受け取り、もしくは10,000円以上の購入で送料無料になることも嬉しいですね^^
ニトリの評判
ニトリの家具は「とにかくお値段が安いものを!」「借り住まいなのでそこそこのものでいい!」という方には向いています。
しかし、昨今、「品質が悪すぎる」「安かろう悪かろうなものが多い」「お、値段以下でしょ。」という声が聞かれるのも事実。
口コミサイトの低評価では、
・マットが3か月で穴が開いた
・3か月ほどしたら、テレビボードやカラーボックスの背板にカビが生えた
・椅子の皮が、1年もたたないうちにぽろぽろとはがれはじめた
・店舗やアフター、配送の対応が悪い
との声が聞こえています。
もちろん高評価もあります。
・本当にお値段以上!
・テレビボードは10年使っているが、開閉もスムーズ
・店員さんが納得いくまで親切に応対してくれた
など。
私が調べた口コミサイトは、864件の投稿中、「5」が16件、「4」が21件に対して、「1」が200件以上ありました。
(満点「5」、多過ぎて悪い口コミが数えられず。)
口コミサイトは悪い口コミの方が書きやすいですし、ニトリは商品販売数も多いので、一概に割合として「ものすごく品質が悪い!」とは言えませんが、「ちょっと『悪い』が多いなあ・・・」という印象はあります。
島忠の特徴
島忠は「ホームセンター事業」と「家具事業」の2つを柱にしています。
家具は製造は行っていませんが、しっかりとしたコンセプトがあります。
そのコンセプトは、「国内外問わず、優れた商品だけを選んでお客様に提供する。」というもの。
家具の価格帯は、安いものから高いものまで様々ですが、カリモク、パウモナ、シモンズ、小島工芸など、定評のあるハイブランドの家具も選ぶことができるのです。
これらの家具は、セールでかなりお買い得に手に入れられるチャンスもあります。
また、店舗の裁量で仕入れを行ってるため店舗によって品ぞろえが異なったり、品数が非常に豊富なのも魅力のひとつです^^
島忠の評判
おしゃれな超高級家具が欲しい人には、島忠の家具は向きません。
そこそこの値段でそれなりの品質が欲しい方にはうってつけです。
口コミサイトの評価も悪いものはほとんどなく、
・品質はいいのに周辺店より安い
・品ぞろえが豊富
・お店の店員さんが親切で、なんでも教えてくれる
との声が聞こえてきます。
ニトリの島忠買収、「島忠の店舗をニトリにはしない」と似鳥会長が明言
今回の島忠の買収で、「島忠どうなっちゃうの?」という声がありますが、2020/11/14の日テレニュースで、ニトリの似鳥会長はこう言っています。
「島忠の店舗のニトリの店舗への転換は考えていない。」
「ニトリブランドと島忠ブランドは分けて考えている。」
あくまで現時点での見解で、今後の経営判断により変更はあるかもしれませんが。
ニトリは島忠の店舗の立地、ホームセンター部門に魅力を感じている
ニトリにとっての島忠の魅力はその立地。
島忠の店舗数は60店舗(2020年8月現在)と、ニトリの十分の一ですが、そのほとんどが東京、埼玉、神奈川、千葉に集中しています。
また、東京23区内の店舗でも、大駐車場が併設されたものがあるのです。
ニトリは最近都市部への出店を強化していますが、土地探しも大変ですし、費用もかかります。
島忠の買収は、その都市部への進出強化のねらいがあります。
また、ニトリが、住生活の細かい用品を扱う島忠のホームセンター部門を取り込むことで、将来の会社のさらなる成長に期待しているのです。
店舗が増えるのにニトリのものを販売しないのには、「お客様の買いたいもの」のイメージが違うことが分かっているから
「都市部で売りたいんでしょ?
島忠が子会社化してお店が手に入るでしょ?
なんでニトリの家具を売らないの?
なんでニトリの店舗にしないの?」
という疑問が素朴に生まれます。
先ほどののニュースによれば、「店舗にいらっしゃるお客様は、『こういうものを買いたい』という値段やコンセプトをイメージして来店する。なので、価格やイメージがばらならなものを売るのはいい戦略ではない」とのこと。
この発言をもう少しかみ砕くと、
「ニトリには『ニトリの家具』をイメージしたお客様が、島忠には『島忠の家具』をイメージしたお客様がいらっしゃる。ので、そこをぐちゃぐちゃにして売るのはよくない」
ということだと思います。
それだけ「島忠」がもつブランドや強みをニトリ側が理解しているのではないでしょうか。
SNSの消費者の声をきいても、「島忠の『こういうところが好き』という」明確なファンがいらっしゃいます。
むざむざそれをつぶすのはマイナスだという考えがあるように思います。
今回の買収は、ニトリの家具を売るための販売網を手に入れるためではない、と私は考えます。
「『島忠』という一つのブランドを取り込んで、ニトリの利益の一つの柱にする」ことが目的だと予想しています。
そう考えると、前述した似鳥会長の発言は、すっきりと理解できます。
島忠側のメリットはコスト削減
ホームセンターの商品価格は、ドラッグストアーやスーパーなどに比べると全体的に割高です。
島忠は、ニトリと提携することで、物流や調達コストを削減できます。
立地はもともと都市部という非常に良いところに店舗を構えていますので、商品の値段が下がれば、売り上げアップにつながる、というメリットがあるのです。
島忠とニトリどっちがいいか、島忠派がおおむね多い印象
今回、ニトリによる島忠買収メリットと、ニトリ・島忠の特徴などについて書いてきました。
調査して伝わってきたのは、「島忠(シマホ)愛」。
ニトリファンの顔は見えづらかったのですが、島忠ファンが明確に「島忠の『ここ』が好き!」と言っているのが印象的でした。
調査して分かったのですが、家具分野で、ニトリと島忠は全く違う路線を行く会社。
この価値観多様化の時代に、しっかりと固定ファンのいる島忠をニトリ化するメリットはどこにもないような気がします。
今後のニトリ・島忠の動きに注目です^^
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