風の谷のナウシカに出てくる腐海とは一体なんなのでしょうか。
「腐海」の存在の意味や謎は、映画「風の谷のナウシカ」で語られることはありません。
実は、「風の谷のナウシカ」の原作の漫画は、見開きA3版漫画7冊分の大ストーリー。
映画版はその第2巻の途中までのお話でしかないため、その世界観や壮大な物語の背景のすべてを語りつくせないのが現状だと思います。
私は「風の谷のナウシカ」の漫画版を大学生のころからここ20年、ずっと手元にもっており、なんとなく読み返してしまう一人のファンです。
そして、映画版が放送されるたびに、「漫画版の最後までやらないなんてなんともったない!!」と思っています。
本記事では、そんな私が、稚拙な筆ながら、「腐海とは?」を説明したいと思います。
(以下ネタバレです!)
風の谷のナウシカ作中の腐海の正体
腐海の正体は、「人間が汚染しつくした世界を浄化するために、『人間が作り出した』生態システム」です。
人間が作り出した?
ではなぜ人間はこんなやっかいな腐海を、わざわざ作り出したのでしょうか?
それを説明するためには、ナウシカの世界の、過去と今を説明しなければなりません。
ナウシカの世界は「火の七日間戦争」のあとのお話
映画「風の谷のナウシカ」の冒頭に、「火の七日間」という表現がでできます。
「火の七日間」とは、映画にも出てきた「巨神兵」が兵器となり、世界を焼き尽くした大戦争のことです。
風の谷は、その戦争から辛くも逃れた人が、腐海の毒も届かない辺境の地にたどり着き、生き延びた人々の小さな国です。
ナウシカたちの生きる「今」は、「火の七日間戦争」のあと。
そして、「火の七日間戦争」の前にも人類は存在していました。
この世界を原作では「旧世界」と呼んでいますが、腐海は「旧世界」の人間たちが作り出したものになります。
旧世界は人間が原因となった終末の世界
「火の七日間戦争」の前後、人間の住む世界は、汚染と欲望で大地も人間の心も汚れ切っていました。
原作の最終巻7巻には、「数百億の人間が生き残るためにどんなことでもする世界」との記述があります。
旧世界についての詳しい描写は本ブログ内のこちらをご覧下さい。
「火の七日間」の前後の世界が生きることに絶望するくらい悲惨な世の中だったということがよく伝わります。
そして、それが人間が原因でできたものだということ、現代の私たちも心にとめておかなければなりません。
腐海は旧世界の人間が作り出した不毛な土地を浄化するシステム
先は滅びしかない、というところまで進んでしまった旧世界。
それでも旧世界の知識層は、人間が、そして地球が滅ぶことのないよう考えました。
そして考え出されたのが、汚染した土地、そして、欲と愚かさに支配された人間をまるごと取り替えることでした。
その具体的な方法として、まず、旧世界の人間は、
・人間を含む生き物や生態系を、汚染や毒に適応した体に作り替え
・作り替えた植物に数千年かけて大地や水を浄化させる
という方法をとったのです。
腐海は、人間がまき散らしたた毒や汚染物質を結晶化し、大地や水、大気をきれいにする役目をもった生命体なのです。
「瘴気」はその過程で出てしまう、副産物。
そして、王蟲をはじめとする蟲たちは、腐海を守る番人。
本ブログには、王蟲の正体や特徴について、こちらのページに詳しく書いてありますので、参考にして頂ければと思います。

映画中に、秘密の小部屋でナウシカが腐海の樹々をひそかに育てていたシーンがあるのをご存じでしょうか?
その時に、ナウシカが言っていたことを覚えておられるでしょうか?
「きれいな水や土で育てれば、腐海の樹々は毒を出さない。
毒を出すのはこのものたちのせいではない。
汚れているのは土だ。」
と。
ナウシカの世界では、「腐海や蟲たちがけがれであり、それらをなくすことは人間の望みである」ということが描かれています。
トルメキアのクシャナが、「巨神兵を使い(腐海を焼き払い)、この世界を人間たちの手に取り戻す」と言っていたことから、よく分かりますね。
しかし、実のところは、「人間が地球を汚染するおろかな生き物」であり、人間が汚した大地を腐海が浄化することが、本来の設定となっています。
役目を終えた腐海は「腐海の底」の場面にカギが
映画中にもありましたが、腐海の底は清浄な場所。
土も空気も水も、汚染されていません。
腐海の底に不時着したアスベルやナウシカがマスクなしで生きられてる場面から分かりますね^^
あの「腐海の底」こそが、腐海が役目を終えた姿です。
→コメント欄からご指摘頂きました。
「毒が完全にないところだったら、降り立ったナウシカたちは息ができないのでは?」と、確かにその通り。。。。
(私の拡大解釈でしたmm)
ナウシカたちが降り立った腐海の底は、「毒があるていど消えている、浄化の過程の場所」と思われます。
「腐海が役目を終えたあと」というは言い過ぎです。
お詫びして訂正いたします。
腐海は層になっています。
一番上は活性した森。
胞子や瘴気の舞う世界です。
そして、大地の毒の結晶化が終わりに近づくと、森はだんだん石化してきます。
これが上から第2番目の層。
そして、石化してさらに老いると腐海の森は崩れ去り、その場所は空洞になります。
これが、ナウシカたちの降り立った第3層目です。
その層がすべてなくなると、それは原作でしか明らかにされていない場面ですが、土が生まれ、草が生え、私たちが知るような生態系となるのです。
これは、原作の漫画「風のナウシカ」の第6巻で描かれています。
原作漫画「風の谷のナウシカ」を読むには
原作の漫画は、残念ながら現在でも電子書籍は発売されていません。
電子でのレンタル本もありませんので、読むには紙での本になります。
1冊500~600円程度です。
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ただ、先だって書きましたが、映画の内容は第2巻の途中まで、また、腐海や巨神兵の謎、物語のネタバレ的な深い部分は、ほとんど6巻以降から描かれています。
ですので、ナウシカの世界の深い部分をぜひ知りたい方は、全巻一気に購入するのもいいかもしれません^^
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風の谷のナウシカの深い世界を知りたい方はぜひ原作を!
王蟲や腐海、そして、巨神兵など、数々の不思議なものが登場する「風の谷のナウシカ」。
それらの謎や正体はすべて原作に描かれています。
また、登場人物ももっと多く、描かれ方も違います。
映画では悪役のトルメキアのクシャ姫。
短気で粗暴な侵略者の姫、というように映画では描かれていますが、彼女の持つ苦悩はとてつもなく深く重い。
そんな中で、精鋭軍のリーダーとして部下に尊敬され親しまれているクシャナは、私の大好きなキャラクターの一人です。
たくさんの背景や謎が明らかになっている原作です^^
気になる方はぜひご覧くださいね。
コメント
でもナウシカは浄化が終わった綺麗な世界では生きれない体(新人類)なんですよね?
浄化が終ったのが腐海の底なら そこで息が出来るのは可笑しくないですか?
旧人類目線で綺麗な空気と 新人類目線で綺麗な空気は違いますよね?
旅人さん さま
コメントありがとうございました。
確かに!
7巻のナウシカのセリフで「私たちは毒なしでは生きられない。」というセリフもあります。
色々なセリフや設定を考えると、ナウシカたちが降り立った層は、まだ浄化の途中の「(旧人類が生きられる程度の)毒が残った空気」ですよね(*’ω’*)
2層目、3層目の浄化の具合を私が拡大解釈しすぎました。。。
記事を修正しておきます。
ご指摘ありがとうございました。